We are going down. / TKO / Cities.000 投稿日: 01/14/2013
ずっと以前より、「Cities」というタイトルで、自分が今まで訪れた/住んでみた街についてまとめようと思っていた。なぜかと言うと日本が沈むからだ。
いつだったか、何年か前の春、香港人が日本に来た時に東京の名所を案内して回ったことがあった。そいつは会社のカネで日本に出張しにきており、毎週末は自分の好きなとこに観光に行けたので、春だったので花見をしたり、ディズニーランドの行き方とか、新宿のカオスおさんぽコースとか、皇居一周の歩き方とか、お台場の行き方とか、そんなようなベタな東京☆初めての観光定番スポット♪に関して、毎週「ここ行きゃいんじゃね?」みたいな提案をしていた。
何度か俺も同行したが、何故か強く印象に残ってるのは月島にもんじゃを食いに連れて行ったことだ。
「ここがMonjaストリートなんだけど、道沿いに100件くらいMonjaを売るレストランが並んでいて互いにつぶしあっているカオスストリートなんだぜ!」みたいな説明をした。
そのうちの一件に入り、もんじゃを食わせつつ何か話をしていた。何の話をしていたかはあまり覚えていないのだけど、何故かそのとき自分が言った言葉が俺自身の中にずっと残っていて、それがその後の行動指針にまでなっているような気がする。その言葉というのはこれだ。
「We are going down.」
どのような流れで言ったかは割と覚えている。「色々なとこ行ってみたけど日本マジキチだよね。東京人大杉街奇麗杉人親切杉。」「んあー。でも衰退していくと思うよ。。。高齢化で社会福祉の負担が大きすぎて死ぬし、成長産業も無いし、人口流入も無いし。中国ではかつて日本が経験してるようなバブル&経済成長が起きてるだろうけど、お前らがナンバーワンだ。中国はどんどん上昇していくドラゴンで、日本は沈んでいく日の丸だ。We are going down.」みたいな感じだ。
その時期まで、外資系で働く外国人とか日本に留学にきていた学生と付き合いはあったものの、あまり海外に行ったことは無かった。あったとしても、各地の大学の寮とかでゴロゴロしたり、何かファンキーなモノを作成している人のプレゼンを聞いたりっていうくらい。なので、学生時代にアジア旅行をしていた友人とかがうらやましかった。その頃自分には、アジアをバックパックかついでふらふらする時間的余裕も、精神的余裕もなく、闇雲にIT企業やゲーム会社で働いたりしていた。
日本にブランチがある外資系企業は、環太平洋地域を束ねるHQが香港やシンガポールにあったりして、そんな地域から日本に来る外人と話す機会が多かった。彼らと一緒にメシ食ったりして、お互いの暮らす都市についての印象について話したり、東京のオススメスポットを紹介したりしていたのだけど、「お前なんかシンガポール行ってみたほうがいいんじゃねーの?」ということを複数の人から言われた。理由としては以下の点だ。
•みんな毎食外食してるからお前のライフスタイルに合ってんじゃねーの
•国土が狭くて公共交通機関と徒歩で暮らせるからお前のライフス(ry
•アジアで一番発展速度が速いから、停滞した東京に飽きてるお前の(ry
•その辺のカフェとか路上でWifi使えるから毎日パソコンしてるお前の(ry
シンガポールに行ったことのある複数の日本人からも同じようなことをたびたび言われていたので、その後、この5年くらいで20回程度シンガポールに入国し、もはや東京の次に地理や路線が頭に入っており、名古屋や大阪や京都よりも土地勘があるといった状態になっている。今でもたまについかっとなって当日予約でSingapore AirやAir Asiaでふらりと数日間行ったりする。
その半分くらいの回数、香港にも行った。
シンガポールと同様に、地図とか見なくてもだいたい歩けるし路線は頭に入っている。現地通貨での金銭感覚もだいたい身についている。前述の、もんじゃを月島で一緒に食った香港人にも二回に一回くらい現地で会い、月島で話したのと同じ内容の会話を彼のオススメレストランとかでしている。ここ数年は中国本土から香港に移住する人が多くて仕事の口が減っているらしい。
また、飲み友達を介して知り合った、アメリカ大使館で働いていたワシントン出身のナイスガイが、今は香港のアメリカ大使館に移動して現地に住んでいるので、香港に行った時に普段の駐在員の暮らしでは乗らないようなローカル路面電車に、もんじゃの香港人の案内で一緒に乗ったりした。
で、香港はなんだか飽きていたので、あるときなんとなく香港から電車で一時間くらいで行ける、隣接した中国領の深圳にも行ってみた。マジで本当にカオスすぎて大好きになり、香港に行く際は毎回深圳の電脳カオス市場にも寄るような行動パターンになってきている。
そんな感じで、香港やシンガポールに行きまくっていたら、好きなように動くための旅のノウハウがだいたい確立し、以前書いたような、「暇すぎるから毎日違う国を散歩するお!」といった趣味なのか修行なのか自暴自棄なのかよくわからないようなことを各地で頻繁にするようになった。
行くのはだいたい各国の都市部だ。一切観光はしない。何となく散歩して、出来るだけ現地人と同じ生活をし、歩き疲れたらどこかでパソコンを開き、何をするでも無く瞑想する。そのようなことをしているのは理由がある。なぜかと言うと日本が沈むからだ。
沈む、と言うことに関して、最近起こったことで言えば、想定外の自然現象をきっかけとするインフラ破壊であったり、想定どおりの高齢化とか財源不足による増税や各種制度の変化であったり、なんかまあ色々とあるけど、まあ沈む前に逃げ道を確保しておきたいから各地の雰囲気をつかんでおきたいとか、単純に東京を散歩しまくって飽きたので知らない場所を歩くために外国に行きつつ現地で採用面接受けてみたりとか、出来る範囲で様々なことを試してみている。
以前こんなことがあった。シンガポールに移住した日本人の友達が一時帰国したので飲み会を開催したところ、どういう偶然なのか、隣のテーブルの方からシンガポールに移住がどうとか聞こえてきたのでよくよく聞いてみると、部署が丸ごとシンガポールに移転するから、そのお別れ会をしているとのこと。
閉塞感のある/希望の無い日本を捨て、シンガポールに移る人の話はよく聞く。前述のシンガポールに移住した日本人の友人は、現地に移住してから子供を作った。同世代で結婚している人はそれなりに多いが、子供が居る家庭の数は少ない。みんな子供を育てる余裕が無いのか、子育てにまつわる制度が悪いのか、未来に希望が持てないのか、何なのか。
一番多く行っているのはシンガポールだが、それ以外の場所でも、それぞれ発見があったりするので、各都市に関してそれぞれまとめつつ、今後そこに移住するならどういう評価か、何がメリットで何がデメリットなのか、何か今後チェックすべき動向はあるか、など、それぞれをまとめてみたいと思っていた。
候補の都市は以下のような感じ。
NYC
LA
SF
バンクーバー
シンガポール
KL
バンコク
台北
上海
深圳
北京
大阪
香港
バルセロナ
ヴェネツィア
ロンドン
ベルリン
東京
博多
仙台
こう並べてみると意外と少ない。「趣味が旅行」なんて人はこの3倍くらいの都市に行ったことがありそうだ。今後もっといろんなところを見てみるとしても、一旦これまでに行ったところの雑感をまとめてみてもいいと思うし、東京がムー大陸やらアトランティスみたいに海に沈んだ時にどうするのか完全に脳内でシミュレーションしてみてから今後何をやっていくか考えて決めたほうがいいよねとか思ったりする。
今のところ、都市部はどこも同じようなインフラで出来ており、電車は同じようなレールの上を走っていても、空飛ぶ車はどこにも飛んでないし、各国各都市にマクドナルドやバーガーキングや吉野屋はあっても、カロリーメイトをウィダーインゼリーで煮しめたような未来的忍者食みたいなモノが主食の街は無いし、毎食もやしだけでみんな生きてる都市は無いし、どこでもIKEAがあるしユニクロがあるし、全員洞穴や海底で暮らしてる都市は無い。完全に同じような素材で同じようなインフラで同じようなルーチンでみんな暮らしているのに、制度や気候や歴史が違うためになんか結構差異があったりする。そしてバルセロナを除いてどこも微妙だ。
先日ヴェネツィアに行ってみて良かったなと思うのは、他の街でクソみたいにあふれてる「自動車」とかいう前世紀の古くさい交通手段が一切採用されていない点だ。水道をひねってみて蛇口からうどんやポンジュースが出てきたりするよう国があれば即移住するよ。
明後日とりあえず何の目的も無く上海に行ってきます。